これが最強のZaurusだ!? アイクルーズについて

2000/12/26
■最初なので、なんとなくはじめてみよう

なぜ今頃アイクルーズなんでしょうね?(^^;

でも、自分にとっては、割と念願だったかもしれません。いろいろ他のザウルス系Webマスターの影響を受けたところはあるのですが、いつか自分でアイクルーズのWebサイトを作ってみたいな、とは思っていたのです。TR1などの流出で、4万円でEX1相当のマシンが購入できるこの時期、新たにVGAザウルスのユーザーになられる奇特な方もおられるかもしれません。多少でも役だってもらえれば良いなあ、と。

まあ、タイミング的には、世の中がE1ヨイショな中、最悪とも言えるというのが、自分らしくて良いかなあなどとも思います。あはは。

 
■1999年初頭 新型Zaurusアイクルーズの登場

そいつは、登場前からザウルスユーザーに期待と不安を与えていました。 なにしろ、ひさしぶりのフルモデルチェンジなのです。 悲願でもあった、ハードウェアキー、クレードル、そして、新型デジカメ。 さらには、PDA界初のVGA液晶搭載。 期待しない方が無理なスペックです。 だから多くのユーザーは待ちのぞんでいたZaurus、と思っていたかもしれません。

しかし蓋を開けてみると、とんでもないことになっていました。(^^; まず、誰もがシリゴミしてしまうその標準価格です。なんと、本体のみで、160,000円です。折しも、世間はいまだ絶不況のまっただ中。いったいこの価格はどこから出てきたのでしょう?(^^;

まだ、Palmの台頭は影が見える程度?で、Sharpさんにしてみれば、まだまだZaurusが全然有利な市況で殿様商売に走っていたのかもしれません。ですが、この価格はあんまりです。よほど熱烈なファンでないと買えないでしょう。部材費がかなり高く付くのはわかりますが、市場に投入できる価格付けとは、シロウトでも思わないところだと思いませんか? 当時よく言われたのが、それなら俺はノートパソコンを買う、でした。まったくなご意見だと思います。

ただ、上にもあげたように、VGA液晶をはじめとする、数々の新装備は、やはり気にならずにはいられませんでした。

 

■気になる機能、新装備

インターネットの頂点へ、というのがキャッチコピーだった記憶があるのですが、確かに、VGA画面によるWebブラウズや、新しいインターフェースを採用したMail機能、一覧性の高いMail画面、そして予約録画機能など、数々の有利ポイントがありました。というか、PDAでココまでできてしまうの?というところすらあったのです。

(1) 見れば納得の超高解像度バックライト付きTFT VGA液晶
(2) 今までの接続ケーブルから、ただ置くだけで良いクレードルを標準添付
(3) 画面タッチのみから、スクロールキーなどのHWボタンを搭載
(4) 全面的に作り直された、VGA対応ランチャー画面
(5) 地図ビューワやマイコンテンツなどの新標準More
(6) 80万画素デジタルカメラオプション

しかし、こんなところは、目に見える、本当に一部の改良ポイントで、実際には、他にもいろいろなところに野心的とも言える新機能が満載でした。しかし、そのツケが、あまりに表に見えすぎるのです。

 

■しかし、多くの作りかけが気にかかる!
 

値段とデザインは別として、外から見えるその機能たるや、PDAとしてはすさまじいものがありました。多少高くても、これなら買ってしまうかあ、という人も、そこそこいたのでしょう。でも店頭でちょろっと触っただけではわからない、使い込んでみないと見つけられないこともあるのです。

(1) すべての標準アプリがスクロールキーに対応しているわけではない
(2) スクロールキーに対応していても、動きがチグハグ
(3) 今までのZaurusでは標準装備だったアプリが無くなっている
(4) QVGA Moreで、エミュレーションするためか、とんでもなく遅い場合あり

そしてなんと言っても、本家Sharpの対応が、どーにも煮え切らないのです。当初の予定であった、レポート&自由帳やインクワープロ、表計算等のMoreは、確かに続々とリリースされました。そのことについては、感謝こそすれ、文句は言いません。いや、本当は、自由帳とかインクワープロとかもVGA対応して欲しかったんですけど、って言ってるやん(^^;

問題は、Sharp自身が、せっかくのVGA画面を生かす展開をうち立てられないことにあります。

 

■前代未聞のアイクルーズバッシング
 

最初は、その基本スペックに驚きで迎えられたアイクルーズでしたが、しだいに、上に上げたような問題で、徐々にユーザからの文句が噴出します。それは、ある意味、理解できるところでもあります。だってそうでしょう。基本的に、こんな高いマシンは、昔からのザウルスに慣れたユーザが買うぐらいしか思えません。とすれば、当然ながら、旧アプリケーションのデータの蓄積が、当然スムーズに移行できると考えているわけです。ところが、データは移行できても、それを扱うアプリが無いのですから。

確かにマイコンテンツは、それなりにすばらしいデータベースアプリだと思います。しかし、これまでレポート&自由帳などに使っていたデータを移行できる手段がなければ、はっきり言って意味がないのです。また、マイコンテンツではなく、使い慣れたレポート〜を使いたいという人もいるでしょう。アイクルーズでは、いろいろなところで、lこういったメーカーとユーザーのすれ違いが起こったのです。

あとはもう、値段が高いだけに、納得いかない部分が高じて、ひどく叩かれまくり、すべての後出しMoreがそろった頃には、あまり見向きはされなくなっていました。

 

■そして一年後

価格は下がり続けます。発売から半年後には、インターネット上の安売り店などで、標準価格の半値以下をつけるところも出てきました。そして、なぜかじわじわとユーザが広がっていったのです。

それは、当初のVGA画面のインパクトを覚えているユーザに広がりました。確かにこの液晶は綺麗だけど、この価格じゃね、そういったユーザは少なからずいたはずです。価格が暴落した現在、うーん、この価格なら買ってみても良いかな……という状況が生まれたのでしょう。

そして、今現在は、発売された当初のように、不足Moreがあるわけでもありませんので、移行も問題無く済ませられるわけです。また、あのアイクルーズがさんざん叩かれた状況を知りつつ購入している人も多いので、不具合は納得ずく、VGA液晶で、自分なりな使い方を想定して購入されている方も多いでしょう。

あれ、思ったより良いんじゃん。これならもっと前に買っていても良かったかなあ……案外そんな声が多いのも、不思議とVGAザウルスの特徴なのです。

 

■これからも有効に使えるのか?

FAX Moreがβ版のままです。そしてSZABから出るサンプルMore達は、ほとんどQVGAにしか対応していません(全部まったく使えない、というわけではない)。また、最近では、パックマンがEX1用としては発売されませんでした。 同じスクロールキー付きであるにも関わらず、です。

このことからもわかるとおり、決してVGAザウルスの未来が明るいわけではありません。Sharpにとっては、サポートしたくない機種の一つでしょう。鬼子とすら思っているかもしれません。

しかし、冷静に考えて、VGAの特色を理解した上で使えるのならば、この世に他の選択枝が無いことも理解できるでしょう。この液晶を使って、デジタルカメラのデータビューワ的使い方や、モバイルマップ、WebブラウズやMailといった機能は、最新機種のPDA群に比べて、けっして劣るものではありません。昔、どこぞの企業が速さは力、と名言(迷言?)をはいてしていたこともありましたが、一覧性だって力です。TTVなどの電子小説や、Niftyのログブラウス、Editorなど、VGAであることに価値を見いだせるのであれば、こんなに強力なPDAは他には存在しないのです。

もちろん、最新の機種の進化も激しいものがあります。E1では、待望のJavaの一部がブラウザに搭載され、なんとあの大きさでキーボードまで搭載してしまいました。市場の反応も良いようです。これからのZaurusの主力はE1で、このE1を中心にMoreやアプリなどが拡充されていくのでしょう。これにいつまでVGA機種が現役でいられるのかわかりません。早いところ、新型VGA機種も出して欲しいところです。

また、逆にそこまでの機能を現在のPDAには求めない、過剰装備だ、という人も、かなりたくさんの意見だろうと思います。そしてそれはある意味真実なので、アイクルーズお勧め派の自分としては、やっかいな部分でもあります。(^^;

それでも、TR1が4万円で購入できるという状況は、少しでもVGA機種を有効に使えそうな人にとっては、なかなかの誘惑ではないかと思います。E1を一回休んでTR1。そして将来のE1ベースのVGA機種を見据える、なんて

ストーリーうち立てられれば良いのですがねえ。(^^;

今購入して、その後も有効に使えるかは、どう運用するかのビジョンが自分の中でどうできあがっているかにひたすら尽きると思います。

 
■さいごに

アイクルーズは、現在の主流なPDAの中では、おそらくもっとも大きいPDAの一つです。それでも、2世代目と言えるPowerZaurus MI506/MI610などよりは小さく軽くなっています。胸ポケットはきっぱり無理ですが、持ち歩くのにじゃまになるというさ重ではないはずです。何より、システム手帳と比べれば同等以上なのですから。

他に、蓋が無いとか、ペンが細いとか、乾電池が使えないとか、あげればキリが無い問題も、馴染んでくるとほとんど気にならなくなってきます。もしくは何か別の方法で、カバーできたりしてしまえるもんなんですね。PDAは、今はまだ、自分に合うモノを選び、かつ、自分が合わせていく、という段階が必要です。買った後からもう問題なくガシガシ使える、というPDAはもっと未来にならないと出てこないでしょう。一歩、PDA側に自分が歩み寄ってあげることができれば、それほど深刻に思える問題は、たいがいはなくなります。

いくら問題があっても、下記のように良いところを見つけてあげることもできます。

(1) 今ではほとんど見られない、モデム内蔵
(2) 唯一くっつく80万画素デジタルカメラオプション
(3) やはり今では見られないPCMCIAカードスロット装備
(4) 一応、EX1から始まった第3世代のZaurusなので、今後もある程度は安心
(5) 今となっては値段が安い(^^;

特に(3)などは、既存のほとんどの小型ストレージデバイスが使えることを意味します。CFやPCMCIA HDD、MicroDriveにSD、MMC、SmartMedia、Click!……。VGAという最大サイズ液晶とともに、最大サイズのストレージメディアを装備できる唯一のPDAとも言えるかもしれません。

時代は、やはりというかなんとなくというか、マルチメディアな方向にPDAを誘っているようです。そういったとき、何が一番効いてくるのか? VGA液晶か? 速度か? 扱えるデータ量なのか? 結局、回帰する場所がどこであるのかは、もうちょっとすればわかりそうです。

最新を追いかけるばかりではなく、一度立ち止まって、一番自分に必要な機能というのを見つめ直してみるというのも、結構良いかもしれませんね。いや、ホント余計なお世話ってのはわかってるんですケド!(^^;


[Return to Top] 文責:Kei