読書紹介2 塩狩峠(三浦綾子)

2001/01/19
 
感動の一大巨編、塩狩峠(三浦綾子:新潮文庫)のお勧め&感想です。
もう、これは、本当にお勧めですよ。
いわゆる泣ける系の小説です。
主人公には、一応モデルがいるようなのですが、彼の 幼少時から、立派な青年になり、そして。。。、ってところまでの人生ですか。
生きるとは何か?死とは何か?愛とは何か?
彼は真っ正面からぶつかって行きます。
実は、これの直前に読んでいた小説(国内ハードボイルド系)も結構おもしろくって、いやあ、良かったなあ、って思ったものの、 その印象すらぶっとんじゃうほど強烈に心に響きました。
どうも、映画とかにもなってるようですね。 観られた方とかいたら、感想いただけると嬉しいです。ビデオとか出てるなら観てみようかどうしようか迷ってるので。(小説の良さが壊されないようなら、ぜひ観てみたい)
宗教(キリスト教)とかが絡んでくるのですが、そんなこと特に気にならずに読み進めますので安心。とにかく激お勧め。

以下からはねたばれ改行いきます。
(ネタばれしたくない方はご遠慮ください)









大河ドラマ的なので^^;、幼少の頃の印象的なできごととかが 結構のちのちの人生に響いてきます。
心の奇麗な人がたくさん出るのも気持ち良いです。
最初の、唐突な祖母の死。死んだと思わせられつづけてきた母が実は生きていて、妹と共に現れる……
厳格でありながらも、この時代にしては柔軟な考えの父の教え、
ちょっと大人っぽい思考の特異な友人、、、その妹への幼い恋心。
その友人一家の蝦夷への夜逃げ。。。
いずれの人物も生き生きしています。昔の話しなのに瑞々しい。
難を言えば、後半の、主人公が、だんだんと回りに慕われていく という過程が、もうちょっと、ゆっくり欲しかったです。
旭川に行ってからの彼に関しては、まさにあっちゅーまに 聖人君子がごとくなってしまったわけですが、そういった中にこそ、もっと苦悩があったりしたんじゃないかなあって思うのですよね。
頼られることの欺瞞とか、自己満足とか、悲しみとか。。。もっと札幌に帰って体の不自由なふじ子さんに会いたい、とか。
自分の生きる道に、何度も挫折するのが普通だと思うのだけど、旭川に行ってからの彼には、そういうところがみられなくって 超人的でちょっとなあ、と。。。
どうも、誉めっぱなしってどうしてもできなくて、何かと苦言を呈してしまうのですが。
でも、それでなくても、少しずつ幸せに向かっていったり、とにかく考えさせられることの多い小説です。
そりゃ、ずいぶん昔の小説なので、言い回しなどは、ちょっと 今風とは違いますが、そんなこと気にならないほど熱中できます。
最近小説でもなんでも、泣いたことないな、という方、心がどろどろしてて、洗われてみたーい、という方、お勧めですのでだまされちったーーって感じで読んでみてください。
読書の冬だ。さ、読もう!(^^;


この文章は、私の独りよがりな解釈のものに成り立っており、実際読まれた方の印象とは異なる可能性があることをご了承ください。
 

[Return to Top] 文責:Kei