無い。
リュック。
中身は?
財布、社員証、クレジットカード、預金カード、各種プリペイドカード、教習券、あ、MD walkmanの乾電池BOXも入ってたっけ。。。どこだ?どこで落とした?
すり抜けで危険だったとき?
白い車がずっと後方にいたのは、落ちたリュックを拾ってたとか?
いや、雨をさけてカウルに身をふせて加速したとき……
ここまで20キロ。
今から戻っても果たして。数秒、呆然と立ち尽くした。小雨がぱらつきだす……
気を取り直す。
雨、 舞 い 落 ち 街 る 〜中編〜
とりあえず、教習行くか?
だめだ、教習簿も教習チケットもリュックん中だ。
じゃあ、とりあえず、事情話してキャンセルか……「……というわけなんすよぉ」
「はい、わかりました、キャンセルしておきます
でもねー、チケットとかの再発行はできないんですよ。
チケット見つからないときは、またチケット買ってもらわないといけないねえ。。。」6教目が残ってるから、¥4200×6かあ。。
ああ、だぶってた分の教習チケット買ったばっかりだったのに!
こんなことなら、まだ買うんじゃなかった。。。しかも、当日キャンセルだから、あとで、キャンセル料2000円も取られちゃうんだろうなぁ。しくしく(;_;)
しかし、今はそんなことをくよくよしてるときじゃない。
いくぜ、道路上に落ちたなら、誰か心無い人に拾われる前に助け出さねば!気を取り直してエンジンスタート。
きゅるるる〜、ばおん!
走り出す。
あ〜、今日中に3段階が終わるはずだったのに〜。
……未練たらたらであった。さきほど、車と接触しそうになったところも子細に眺める。
反対車線だから、完璧ではないけど、どうもそれらしきものは見当たらない。
よし、さくさくいくぞ!と、道なりに進んでいると、なんと駐在所があるではないか。
ここは、場所的には、多摩大橋の手前付近(八王子側)だ。
とりあえず、紛失物届けしなくっちゃ。「すみませ〜ん、紛失物届けしたいんですけど」
と言いつつ、なんか落とし物を届けにきたよーって
言ってるみたいだな〜、と変に思う。ありゃ、割と冷静じゃん。で、届け用紙に必要事項の記入。
ところで、そのバイクで来たんだよね? 400?」
「いえ、250です。今そこの八王子国際で大型の免許取り行ってるんですが、その道中で、ヨヨヨ〜」
「ふー、免許も無くしたんだ?」
「はい、って、あ、まさか……」
「不携帯」びしっ!
「ひえ〜、そりゃないっしょやぁ〜。勘弁してくださいよ〜。本当にだめ?」
「だめ〜、免許ない人は、運転しちゃ行けない」
「そんな〜」
「でも、ここへ置いてけ、とも言えないからね。途中で不携帯で捕まらないようにね」
「ありがとやんした〜」
(ほーーーーっ)こうして第一の関門を抜ける。
しかし、落とした貯金カード(?)は、同じく落とした免許の生年月日より暗証番号がバレルバレル!
一刻も早くみつけないと。
VISAカードだって、早く止めなくちゃ。
(家に連絡しようにも、小銭一枚無い。まさに無一文!)
しかし、今考えると、警察で自宅に電話すれば良かったじゃんっ!来た道を逆にたどりながら、目を皿のようにして探すけれども、手がかりひとつなし。
道脇のガードレールのポールとかにひっかかってないかなー?など、探すけれども、どこにもそれらしきものなし。
気ばかり焦って、余裕を失う。ざんっ!
自分の中ではそれほど無茶な運転ではなかったのだけど、たぶん回りからみたら、結構無茶かもしれんような運転が続く。
信号待ちの車の列を、右側から抜いて先頭へ出る。
右に曲がって、加速! スピード出てるかな?信号赤だ、止まらなくちゃ。
と、同時に、パフォンパフォンという聞きなれたサイレン。
路面も濡れてるし、事故でもあって、救急車かな?
拡声器からも声がする。
いつもの「道を開けてください」……じゃないぞ、これ。「前のバイク、左に寄って止まりなさーい!」
Oh! My God!!
Keiのバイクの左に横付けにされたのは、覆面パトカーだった。
「はい、バイク降りて、そこの車道に持っていって」
とりあえず、従う。
なんとか切り抜けようと考える思考と、もーどーにでもしてくれーっちゅー捨て鉢な気持ちが、双頭の竜のごとく絡まりあって、共食いを始めてしまったため、思考がオーバーヒートしていたのだ。「はい、免許証出して」
「ありませーん(はーとまーく)(c)Rozさん」
そんなオチャメなセリフが自然に出ていた……
……続く。
スピード違反+追い越し禁止+センターライン越え+免許不携帯(笑)!!
一撃の元にこれだけ違反を犯した上に、どうもおまわりさんは、盗んだバイクで無免許運転してるんじゃないかと疑ってるらしい!!こ〜りゃ、まじぃ!
一刻を争ってたのに、時間のかかる身元証明!
この間に、誰かに拾われたらどーするんだ〜!
クレジットカード使いまくられていたらどーすんじゃー。
銀行から、ガバってひかれていたらどないすんねん〜!
待てども待てども落とし物の連絡のない焦燥の日々。。。
そして。。。次回、長き沈黙を破り、奇才Keiが満を持して放つ衝撃の超問題作、
雨、舞い落ちる街(後編)にご期待ください!!
HTMLレイアウト:Qさん
文責:Kei
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