痕 for I-Cruise
2000.12.22
■ZVNSって?
ZVNSとは、痕 for Icruiseの作者である えすたけさんが作成している、あるMoreシリーズのことです。このシリーズは、LeafというPCゲームソフトの会社の作品を、ザウルス上で楽しめるようにするもの、といえるでしょう。移植ではなく、言ってみれば、エミュレータ、といった感じでしょうか?ゲームの内容から、Zaurus
Visula Novel Seriseと銘打っています。
■ビジュアルノベル
自分も、これまで良く知らなかったのですが、今やPCゲームというのは、ビジュアルノベル隆盛なのだそうです。もっとも、海外ではまた別のようですが。
その名の通り、ビジュアルを前面にうち出したノベル、ということでしょうか。つまり、ストーリー重視なわけです。ですが、それだけだとゲームにはならないので、ストーリーに選択枝、ようするに話の分岐点を設け、それによって、ゲーム性を付加しているのです。それによって、異なったストーリーで幅を出すこと、ゲームプレイ時の感情移入度を高める効果を期待できるのですね。
■ちょっと脱線
自分は、古いPCユーザだったので、なぜ、ビジュアルノベル、なんて銘打っているのか、よくわかりませんでした。自分から見ると、単なるアドベンチャーゲームなんです(^^;。ほら、PC88とかX1とかの時代って、アドベンチャーゲームって全盛だったじゃないですか?
もちろんRPGもすごかったですけど。
そんなわけで、昔のゲームをひもといてみたりしました。スナッチャーとか。。。(^^;
で、思ったのは、話を読んできかせるというより、選択の幅を広げていたり、ちょっとアクション入れてみたり、ある程度自分で動けたりと、自由度が高いんですね。それに比べてビジュアルノベルっていうのは、本当に、話の分岐ポイントまでは、ひたすら小説のように読むだけなんです。昔のアドベンチャーゲームから、話を読ませることに主体を移しているんですね。逆に自由度はえらく低くなっているようにも思えました。
■なぜ、痕であったのか?
もともとは、PC98向けのDOSゲームだったようです。で、人気があってWin用も出てた、と。さらに、すさまじいなあと思ったのが、いろんなOSで動作してるらしいのです。LinuxとかMacとかBeとか??
ひょっとしたらPalm用もあるのかもしれません??
つまり、開発するためのノウハウがある程度流出していたと考えることができます。また、それだけ、いつまでも熱烈なファンでいるユーザが多かった、と。
開発されるための下地ができていた、と言うことができるのかもしれません。もちろん、まったく違うハードウェア、OSでの動作ですから、作者のえすたけさんの苦労はすごかったんだろうなあと思います。しかもこういうのって、得てして原作ファンから、完璧さを求められたりしがちですし。
■移植でなく、エミュレータ
さきほど、移植というよりはエミュレータ、と書いたのですが、どういうことか簡単に説明します。
実を言うと、これ、痕 for Windowsのパッケージソフトを購入しないと遊べません。Moreをインストールしただけでは、動作しないのです。話や絵、フォントなどのデータをパッケージソフトのデータを使ってゲームするからなのです。つまり、痕
for I-Cruiseには、お話や、絵のデータはまったく無いのです。
エミュレータと書いたのは、だからなのでした。パッケージソフトのデータを使って、ゲーム進行を制御するMore、それが痕 for I-Cruiseと言えるのかもしれません。
ちょっとびっくりしたのは、このゲームソフト会社が、ゲームのデータを使うことを許している点にあります。パッケージ購入者なら、ザウルスにデータをコピーして使っても良いということで。当たり前のような気がしつつも、英断のような気もしつつ……さてどっちでしょう?
■その他、気になったこと
ゲームそのものは、人気のあったものですので、はじめてみればわかると思いますが、それなりに楽しめるでしょう(18禁というのが、いまいちシリゴミさせられてしまう要素なんですが……(^^;)。
ダークな雰囲気とか、超常なネタなど、説明はできるでしょうが、それはヤボというものです。
More側から言うと、えすたけさんも精力的にVersionアップを重ねていて、かなり安定した動作をしています。
UserMoreとしては、唯一、MP3出力機能を備えている点も驚きです。動作も高速でほとんどストレスを感じません。
特筆すべきは、もとがPCのゲームであったということで、VGAと非常に相性が良いということです。おそろしくクリアな画面は、PCのモニタ画面のそれを上回るかのような美しさです。QVGAとは確かに比べモノになりません(実際には、PC98系の流れなので、640x480ではなく、640x400なのですが)。
ちょっと遊んでみて思うのは、やはり、ストーリーだけでなく絵もあると快適かなあ、ということですね。さらにBGM付きになったときの没入度は、うなぎ登りでしょう。TTVで小説を読むのも、なかなかオツなのですが、絵付き物語というのも、この先台頭してくる分野なのかもしれません。
正直、音楽がついたときの効果は、すごいを通り越して卑怯ですらあります(^^;。シャープがマジメにMP3対応APIを発表してくれるのを願ってやみません。